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現在日本でどれくらいの頻度で介護殺人が起きているかご存知でしょうか。

現在日本でどれくらいの頻度で介護殺人が起きているかご存知でしょうか。

およそ“2週間に1件”の割合で発生していると言われています。

 “介護疲れ”から、大事な家族であるはずの人の命を自ら奪ってしまう『介護殺人』は、

2010年以降の6年間に少なくとも「138件」起きています(未遂など含む)。

 

その介護殺人は、事件が起きるまでの介護の期間を見てみますと、1年以内が26%、そして3年以内が半数以上の53%と、介護を始めてから“比較的短い期間”で事件に至っているケースが多いことが分かっています。

1年以内  26%
 ~2年  13%
 ~3年  14%  
 ~4年  約3%
 ~5年  約3%

~10年 約24%
10年以上 約19%

 

注目して頂きたいのは、3年以内で53%を占めるということです。

(26+13+14=53)

この期間の短さからわかることはなんでしょうか。

周りが異変に気づく前に事が起きてしまう

 

SOSを発する前までに3年ですから耐えてしまうのでしょう。

介護にのめり込んで視野が狭くなって”自分が介護をするのは当然のこと”といつのまにか思い込んでしまうことも考えられます。

 

施設を探す等の対処までを迅速にしなければいけないが、簡単にできるものではない社会の現状

通常、介護施設は”要介護”の5段階のどこにその人があてはまるかで「入れる」「入れない」が決まります。

まずその要介護段階を判別するために病院に行き、医師に判断してもらいます。

そのあとは通常、施設を探すことになるのですが、「どこも満室」空きがでるまで待つ。

じゃあその待ってる間はどうするか?デイサービスや通所施設という”一時的に”お世話になる場所を探します。

そのデイサービスや通所施設を利用する際に”介護保険”を適用してもらうことになるのですが、これも役所での手続きをします。

デイサービスや通所施設は一時的な利用ですから、夜になると自宅で介護をすることになります。

そこが大変なのです。

それに毎日利用できるわけではなく、一日中介護を自宅でしなくてはならない日もでてきます。

このように、いざ”介護をしなくてはならなくなった”となってから生活が安定するまでに大変な手続きと実際の介護生活を同時に行っていかなくてはならなくなり、その負担たるや甚大で、その苦労から「楽になりたい」となり、介護殺人が生まれるのです。

 

3年を過ぎても介護をできている人たちは安心?

上の統計上の数字では3~6%の部分に入ります。

よくがんばっていらっしゃいましたね。と頭の下がる思いです。

 

介護に「向いてる」「向いていない」は気質。合わない場合はすぐに手を打ったほうがいい。

実は介護をするというのは非常に高レベルな”人間力”を必要とします。

やるべきこと”と感情わけて言動できるかどうか

しかし感情にふたをしていても”共感”してあげることが必要な場面にも出会います。

そして”優しい嘘”をつくことに平気になれるかどうか。

被介護人と同調しすぎると心が崩壊していきます。

ですから介護する目の前の人を親が子どもを見守るように世話できるか。

しかし子どもと違うのは大人として生きてきたなかで”自尊心や頑固さ”

を持ちながらどんどん本能をむき出しにしていく人間を相手にしなくてはならないのです。

 

なぜ認知症患者は本能をむき出しにしていくのか。

 

介護をはじめて3年以内で現時点で大変辛い思いをしている方は要注意。ぜひ自分を客観視してください。

 

それでもじゃあ3年は頑張ってみようと思った方。ぜひとも今からご紹介する例を忘れずに心のどこかにとどめておいてください。そうすれば踏ん張れるかもしれませんから。あなたの未来にこのようなことがないことを切に願います。

 

例 ①
追い詰められた末に“生き甲斐”の介護がなぜ介護殺人という結果になってしまうのでしょうか。

父親
母親
男性

父を母が殺害
墓石の前にいる男性
事件の3年前 事件の半年前 事件 3年後の現在

 

60年近く連れ添った両親がいました。旦那さんは中学校教師で奥さまは専業主婦でした。

退職後はたびたびご夫婦そろって旅行に行くなど“仲の良い夫婦”だったそうです。

しかし事件の3年前、旦那さんが『脳梗塞』で倒れ「半身不随」になってしまいました。

介護を始めた母親は、当初、生きがいを感じていたといいます。

自力で立ち上がるなど、旦那さんが少しずつ良くなっていく姿を見て喜んでいました

 

3年前『介護殺人』で父親を亡くした男性(このご夫婦の息子さんです。)

お父さまの命を奪ったのは、介護をしていた男性の「母親」でした。

60年近く連れ添ったこのご夫婦にいったいなにが起きたのでしょう。

「一遍に追い込まれてしまいましたものね。

 事件という形で終わっちゃったのが残念で」

墓石の前で手を合わせる男性はそう口にしていました。

 

「妙な話ですが“楽しそう”だったかなぁ。

 自分が看護婦の代わりに面倒を見ると、親父が応えて色々と上手く出来るようになる。

 “生き甲斐”が出来て“楽しそう”に見えましたけれども」

 

しかし、事件の半年前、旦那さんが重い肺炎を患いました。

食べ物を誤って飲み込んだことによる『 誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)』でした。

再発を防ぐため、食後すぐにベッドに横にならないように、奥さまは気を配っていました。

しかし体力の無い旦那さんはすぐに横になってしまい、そのことで仲の良かった夫婦は

「食べてすぐ寝ちゃだめです!また病気になってしまうでしょう!」

“言い争い”が増えていったそうです。

<奥さまの日記>

○月○日

主人、便が出る出る。少し硬めだが沢山出て気持ちが良さそう。

畳からベッドで寝るのが楽しみらしく(いつも寝ていたいらしい)

食後の30分、うろうろしている。言ふ事を聞かないと家に置けないと

言ふと、どこにでも入れてくれと言ふ。なさけない。私もどこかへ逃げたい

ところですよ。

○月○日

今日は何も言ひたくない位つらい1日だった。

とことん疲れたのか? 私を馬鹿にしているのか?

夜、うがいをしながら何度も茶の間に来る。

何回言っても言ふ事を聞かない。食後の30分もベッドの方に行ったり

落ち着かない。私も頭に来て、車椅子をテーブルに縛りつける。

テレビでの「いじめ」が頭にうかぶ。

主人は「おれは頭が悪いからな… 」と言ふ。

わがまま(?) 何でもするのかと、又頭にくる。

○月○日

久しぶりに○○○に行く。今日は○○○○見学で、主人も喜んで行く。

風呂も久しぶりに入れてもらふ。有り難うございます。

主人のいる日は気が抜けないので、疲れる事、疲れること。

でも今日は良い日。退院して9日なのに、昔の様にソファーから起きられる

様になり、車椅子に乗る。トイレの手すりも上手に出来る様になるが

まだまだ目が離せない。でも今日はうれしい日です。

○月○日
今日は○○○○介護の人がトイレが近いね、お母さん大変ですねと言われる

○○○の所にも、シッコシッコと言ふ人が居て、嫌われていると言っていた

帰って来てからも3回行き○○見るが見ているうちにオシッコが出たと言ふ

主人もおれもだらしなかったなあと言ふ。私も言ふ事がなく出ない方が困る

出ていいんだよと、なぐさめる。一番なさけないのは主人だと思ふ。

○月○日

「私の言うことを聞かないと家に置けない」と言うと「どこにでも入れてくれ」

と言う。情けない。

○月○日

夫が横にならないよう、車椅子をテーブルに縛り付ける。

ノイローゼになりそうです。

 

息子さんは「母親の苦悩」に気付くことができなかったようです。

母親は「介護は自分でやる」と気丈に振る舞っていたからだといいます。

 

(母は)不満があっても一切口には出さないような、そういう人だったのでね、

 その異変を、私は気付かなかったんです。」

 

その後、旦那さんの病状が悪化すると

奥さんは介護の仕方が悪いのではないかと“自分を責める”ようになりました

私はまだまだ主人と一緒にいたいが無理だろうか。

私が疲れると主人に当たることがあるから無理なのか。

神様お願ひします。

どうしたら良いか、教へて下さい。

 

その後、奥さまは手首を切るなど、自らの体を傷つけるようになりました。

日記は事件の2週間前で止まっていて、

最後のページには、切ないね、と書かれていました。

 

奥さまは、寝ていた夫の首をひもで絞め、命を奪いました。

介護を始めて「3年」。容体が悪化してからは「半年」のことでした。

この奥さまは裁判で「刑事責任は問えない」として不起訴処分になり、

今は【介護施設】で暮らしています

 

過去6年間に起きていた「138件」の『介護殺人』ではこのような事実が浮かび上がってきます。

判明した67件中 <『介護サービス』を利用。周囲の支えがあった>にも関わらず

その「4分の3」が『介護殺人』を起こします

『介護サービス』使っても事件は起こってしまう事実が浮かび上がっています。

 

例 ②

旦那さんを殺害し実刑判決を受け、およそ2年間、服役した奥さま

今現在も長年暮らしてきた部屋で40年以上連れ添った旦那さんを手に掛けました。

奥さまの言葉です。

「気が付いた時に、我に返った時にはタオル持っていてこう、それで夫が動けないようになって。

 ああするより他なかった。」

このご夫婦にいったいなにが起きてきたのでしょうか。

事件の3年前、旦那さんは『脳梗塞』で倒れて体が不自由になり、介護が必要になりました。

それまでは孫の成長を生きがいに、穏やかな老後を送っていたこのご夫婦ですが、

脳梗塞で倒れてからさらにその後、旦那さんは『認知症』を発症。

昼夜を問わず大声を上げ可愛がっていた孫にリモコンを投げつけることもありました。

奥さまは1日20回もトイレに行く夫に付き添いほとんど休めなくなったのです。

「完全に寝られない! もう2時間、2時間寝たらもう起こされるし。

 体が保たないから、頭の中がパニックになってきて、私もほんとに

 何しているのか分からなかった」

「旦那から離れたい!あの「地獄から離れたい!」それ一心でした。」

限界を感じた奥さまは旦那さんを【特別養護老人ホーム】に預けようとしましたが「空き」がなく、

自分で「介護」を続けざるを得なかったのです。

 

奥さまは『介護保険制度』を利用し、旦那さんを「週3回1日6時間デイサービス」に預けていました

そして旦那さんが不在の間に家事を済ませ、近所の“公園で過ごす10分間”が唯一の休息だったそうです。

「ジーッとボーッとして。また思うんです。帰るの嫌だなぁーと。

 もう帰らなきゃ、帰らなきゃと思うんですけど、夫がまた帰ってくると思うとなかなか腰があがらないんです。」

 

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